新卒採用の入社後ギャップを減らすための採用戦略とは

この記事でわかること
・新卒採用のメリット
・入社後ギャップを減らすためにやるべき採用戦略施策
・それでも入社後ギャップが生まれた時、やるべきこと

この記事は、ネットで言われている「一般論」に対して、組織マネジメントの専門家はどう考えるのか?をインタビューし、私たちがより実践しやすい具体的なアクションを聞き出す企画です。今回は「採用戦略編」の第3回をお送りします(記事のアーカイブはこちら)。 

前回は景気によって採用戦略を変化させる必要があることや、リファラル採用がおすすめであることをお伝えしてきました。今回は、新卒採用において気をつけるべきポイントを伺っていきます。

登場人物プロフィール

【インタビュアー】MEGUMI

とある女性向けのサービスを行なっている経営者。それなりの社員を抱える規模でビジネスをしているが、組織の人間関係のトラブルや、離職率の上昇など、組織マネジメントにはまだまだ課題のある状況。

今まで感覚的に行なっていたけれど、改めて、しっかりと学んだ方がいいのかも…と考えていた矢先に、この記事の企画をいただき、インタビュアーとして参加させていただきながら、組織マネジメントを学ばせていただくことになりました。

【専門家】嶋津良智先生

日本唯一の『上司学』コンサルタント。「『あなたのもとで働けてよかった』をすべてのリーダーへ」を理念に、中小企業のための、人づくり、組織づくりに特化をした、スクール形式では日本一のビジネススクール『リーダーズアカデミー』を経営。

  • 一般社団法人日本リーダーズ学会 代表理事
  • リーダーズアカデミー 学長
  • 早稲田大学エクステンションセンター講師
  • 他、経歴・著書多数

<プロフィールはこちら>

採用戦略を考える際には、新卒採用と中途採用でそれぞれ戦略も変わってくるかと思います。今回は、新卒採用について、教えてください!

わかりました!

新卒採用は、「何にも染まっていない」ことがメリット

まず、新卒採用のメリットとしてはどういった点が挙げられますか?

染まっていないということですね。何にも染まっていないということは、自社のカラーに染めやすいということです。

採用戦略の第一回で教えていただいた、「理念の共有」がしやすいということでしょうか?

採用戦略の第一回で教えていただいた、「理念の共有」がしやすいということでしょうか?

確かに。新卒採用の場合は、就職が初めてですから、自社の理念を浸透させやすいですね。第一回で自社に必要な人材は、「理念が共有できて、結果の出せる人」だと教えていただきましたが、理念の共有という部分では、新卒採用が適している場合も多いのかもしれません。

ただ僕は、新卒採用ばかりに力を入れるのも違うと思っています。大事なのは、人材の多様性です。他の企業の文化を知る人間が入ってくることで、新しい風を吹かせてくれることが良い作用を生むことも多い。中途採用と新卒採用、それぞれを並行して進め、採用戦略では常に人材の多様性を意識すると良いと思いますよ。

おっしゃる通りですね。逆に、新卒採用に向いていない企業の特性はあるものでしょうか?

採用してもうまくいかないんじゃないかなって思うのは、結果主義の濃い会社ですよね。教育を重視せず、即戦力で結果を求めるような企業は、新卒採用には向いていないですね。

入社後ギャップを減らす2つのコツ

新卒採用は何にも染まっていないことが良い分、経験値もないため、入社後ギャップが生まれやすいというデメリットもあります。せっかく時間をかけて教育しても、「イメージと違った」とすぐに退社されてしまうのは企業にとって痛手です。こういった入社後ギャップを減らすため、採用戦略でのコツはあるのでしょうか?

まずは、面接時のすり合わせをしっかり行うということですね。求職者は企業に入りたい気持ちが強ければ強いほど、色々なことをポジティブに捉えてしまう傾向にあります。企業側も良い人材を取りたい気持ちが先行して、少し膨らませて言ってしまうことも多いです。すると、実情とのギャップが生まれてしまいます。

うーん、私も就活時は、会社の良い面ばかりに惹かれて、冷静に見られていなかったように思います。企業もわざわざネガティブな面をさらけ出すことは少ないですよね。

会社のネガティブな部分も全て、誠実にしっかり話をしていくというのが企業側の責任だと思いますよ。それが結果的に、入社後ギャップを減らすのですから、企業にとっても人材にとっても良いはずです。

本当にそうですね。目先のことに捉われず、誠実であることが大事ですね。

もう1つは、インターンシップ等の実際の現場で、お互いに判断する機会を持つことです。企業側も、求職者側も、全く仕事の現場を共有していないより、少しでも一緒に仕事をする時間を持てれば、よりイメージがつきやすく、随分とギャップを減らせるのではないでしょうか。

究極の採用戦略は、現社員を魅力的な社員に育てること

とは言え、期待と現実のギャップというのは生まれるものです。こんな職場だと思わなかったとか、職場の雰囲気がイメージと違うとか、もっと自分はやれると思ったのにとか、意外と大変な仕事だとか、上司と馬が合わないとか…。

結局、実際に入ってみないとわからないこともたくさんありますしね。

その埋め切れないギャップをフォローするのは誰かというと、配属された職場の上司や先輩たちなんです。

確かに。

その上司や先輩たちが、魅力的な人材であれば、ギャップがあっても乗り越えられるもの。常に目の前に、憧れる、見本となるような輝く先輩やリーダーがいるように、社員教育をしっかりと継続していくこと。それがある意味、人を辞めさせない一つのコツになるんですね。

そう思うと、採用戦略も社員教育も全て繋がってきますね。経営者が気をつけるべきことはありますか?

一貫性のある経営をするということですね。いくら「社員が大切、お客様が大切」だと掲げていても、実は社長が私利私欲で経営しているような会社だったら、入った時に社員の落胆は大きいはずですから。良い人が採用できない、すぐに社員が辞めてしまう、といった悩みを抱えている経営者は、今一度、自分、そして現場にいるリーダーたちが、「この人の元で働きたい!」と思える人間かどうか、振り返ってみてください。

掲げている理念と実態が伴っていなければ、ギャップが生じて当然ですよね。

新卒採用における数々のヒントをありがとうございました!第4回では、中途採用についても伺っていきたいと思います。

この章のポイント
・新卒採用は自社のカラーに染めやすい
・採用戦略では、常に人材の多様性を意識する
・面接時には会社のネガティブな部分も誠実に伝え、入社後ギャップを減らす
・インターンシップ等実際の現場で互いに相性を判断する機会を持つ
・現社員を魅力的な社員に育てることで、入社後ギャップが生まれてもフォローができる

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