優秀な人材ほど評価制度への不満を理由に退職する?評価制度の目的と重要性

この記事でわかること
・社員の給与を決めるだけではない!評価制度の真の目的
・優秀な社員ほど評価制度を気にする理由
・評価制度への不満が生まれる原因は、上司のフィードバックにある
・評価制度が組織に与える影響

この記事は、ネットで言われている「一般論」に対して、組織マネジメントの専門家はどう考えるのか?をインタビューし、私たちがより実践しやすい具体的なアクションを聞き出す企画です。

今回のテーマは「評価制度」(記事のアーカイブはこちら)。 

企業において欠かせない評価制度は、社員のモチベーションを大きく左右し、時には離職の要因になることも。組織が成長し続けるために、良い評価制度とは何なのでしょうか?全4回にわたって、評価制度について考えていきましょう。

登場人物プロフィール

【インタビュアー】MEGUMI

とある女性向けのサービスを行なっている経営者。それなりの社員を抱える規模でビジネスをしているが、組織の人間関係のトラブルや、離職率の上昇など、組織マネジメントにはまだまだ課題のある状況。

今まで感覚的に行なっていたけれど、改めて、しっかりと学んだ方がいいのかも…と考えていた矢先に、この記事の企画をいただき、インタビュアーとして参加させていただきながら、組織マネジメントを学ばせていただくことになりました。

【専門家】嶋津良智先生

日本唯一の『上司学』コンサルタント。「『あなたのもとで働けてよかった』をすべてのリーダーへ」を理念に、中小企業のための、人づくり、組織づくりに特化をした、スクール形式では日本一のビジネススクール『リーダーズアカデミー』を経営。

  • 一般社団法人日本リーダーズ学会 代表理事
  • リーダーズアカデミー 学長
  • 早稲田大学エクステンションセンター講師
  • 他、経歴・著書多数

<プロフィールはこちら>

ネットの記事では評価制度の目的として、

・企業のビジョンや方針の明示
・人材の最適な配置
・人材育成
・従業員満足度やエンゲージメントの向上
などが挙げられています。

嶋津さんが考える評価制度の目的について、教えてください。

評価制度の2つの目的

今挙げていただいたことも、評価制度の目的であると思います。僕が評価制度の目的としてよくお話しすることは以下の2つです。

①会社が向かうべき方向性を社員に理解してもらうこと
②社員が成長しながら最大限の能力を発揮することで、会社の業績を向上させること

会社が向かう方向性を理解できない評価制度も、会社の業績と結びつかない評価制度も、良い評価制度とは言えないのではないでしょうか。

評価制度というと社員の成果に対しての評価というイメージが強いですが、会社が向かうべき方向性を理解してもらうためにも、評価制度は重要なのですね。

評価制度は組織が何を目指すのか、何を評価するかの認識を揃えるものでもあります。だからこそ、企業の理念や経営方針に合った評価制度を設けることが重要です。

社員にとっては何を頑張れば評価されるのかを確かめる指針になりますね。評価制度というと、給料のアップや賞与をまず思い浮かべるリーダー、社員が多いと思います。

賃金や賞与ももちろん社員のモチベーションアップに繋がりますが、それだけでは限界があります。社員の成長を促し、会社の業績をあげる評価制度を作らなければいけません。

評価制度への不満はなぜ生まれるのか

評価制度は社員のやる気を引き出す場合もあれば、不満に繋がることもあり得ます。社員の不満に繋がってしまうケースは、どういうことが原因となっているのでしょうか?

僕の経験則で言うと、社員というのは評価制度に対してあまり高度なものは期待していないんです。自分が理想とするものではないと思っている。それでも納得がいかない、腹落ちが悪い場合というのは、評価をし終わった後のフィードバックの問題だと思うんです。

評価に関する面談などで、現場の上司・リーダーが上手くフィードバックできていないということでしょうか。

なぜその評価になったのか、納得感のある説明がされていないということが、不満に繋がるのだと思います。例えば5段階評価だとして、「この項目はこういう理由で今回は3だったね、次回5にするためにはこういったことをする必要があるんじゃないか」という、具体的かつ適切なフィードバックがあるかどうか。どう自分が頑張ったらどう評価されるのかの説明があるかどうかが、一番の問題であるように思います。

なるほど。確かにそこまで全ての項目に対して丁寧に、適切にフィードバックできているリーダーは少なそうです。評価制度の問題というよりも、評価を説明するリーダーに問題がありそうですね。

「評価者訓練」を疎かにしがちな企業が多いですね。

評価者訓練とは、部下の評価を行う上司・管理職の人間が受けるべき訓練のことですね。

はい。ハロー効果や評価エラーなど、評価にあたって評価者の先入観が入ることで適切な評価がされないこともあり得ます。社員がしっかり納得できる評価と、評価への適切なフィードバックが行われないと、社員の不満に繋がってしまいます。

評価者に先入観が入り、適切な評価が行われない場合、一気に会社への不信感が強まってしまいますよね。

退職した人の中で、優秀な能力を持っているのに辞めてしまった人の約4割が、評価制度への不満で退職したというデータもあります。優秀な人であればあるほど、能力のある自分・頑張った自分をどう評価してくれるかを気にします。アンフェアな会社を嫌うんです。

せっかく自分の能力を発揮したのに、評価されないのは納得がいかないですよね。

ですから、優秀な人材を確保し続けるためにも、フェアな評価制度というのは非常に重要ですし、評価に対するフィードバックも重要です。

評価制度がいかに組織にとって重要かが分かってきました。

組織で人が育つ5つの条件

組織で人が育つには、5つの条件があります。採用・適正配置・リーダー・教育・評価の5つです。

どういうことでしょうか?

詳しくお伝えすると、次の5つのステップを踏むと、組織で人が育っていきます。

①必要な人材を採用する
②その人の強みが生きる場(仕事)を与える
③部下を成功させるために一生懸命になるリーダーがいる
④能力を伸ばす教育を与える
⑤成果を報いる評価を与える

ここで重要なのは、順番なんです。

採用から始まって、評価で終わるんですね。

その通りです。評価がされなければ、社員にとっては出口のない洞穴を歩いているようなものです。つまり、組織で人が育つためにも、評価制度は非常に重要な役割を担っています。

評価制度の重要性をよく理解できました。次回は、評価制度の選び方についてお伺いしていきます。

この章のポイント
・評価制度の目的は
 ①会社が向かうべき方向性を社員に理解してもらうこと
 ②社員が成長しながら最大限の能力を発揮することで、会社の業績を向上させること
・評価に対して具体的かつ適切なフィードバックがないと社員の不満に繋がる
・優秀な人であればあるほどアンフェアな会社を嫌う。優秀な人材を確保し続けるためにも評価は重要
・組織で人を育てるためには、成果を報いる評価を与えることが大切

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