傾聴力を発揮すべき場面と、傾聴力がある人の特徴とは?

この記事でわかること
・傾聴力とは何か
・傾聴すべき場面と、そうでない場面がある
・傾聴力がある人の特徴

この記事は、ネットで言われている「一般論」に対して、組織マネジメントの専門家はどう考えるのか?をインタビューし、私たちがより実践しやすい具体的なアクションを聞き出す企画です。今回は「傾聴力」の第1回目となります(記事のアーカイブはこちら)。 

相手を深く理解したり、人間関係を強化したりするために必要だと言われる「傾聴力」。多様性が求められる時代、先入観や固定概念を持たずに人と接するためにも、傾聴力は不可欠ではないでしょうか。「傾聴力」とはどんなスキルなのか、傾聴力を持っている人の特徴とは何か、考えてみましょう。

登場人物プロフィール

【インタビュアー】MEGUMI

とある女性向けのサービスを行なっている経営者。それなりの社員を抱える規模でビジネスをしているが、組織の人間関係のトラブルや、離職率の上昇など、組織マネジメントにはまだまだ課題のある状況。

今まで感覚的に行なっていたけれど、改めて、しっかりと学んだ方がいいのかも…と考えていた矢先に、この記事の企画をいただき、インタビュアーとして参加させていただきながら、組織マネジメントを学ばせていただくことになりました。

【専門家】嶋津良智先生

日本唯一の『上司学』コンサルタント。「『あなたのもとで働けてよかった』をすべてのリーダーへ」を理念に、中小企業のための、人づくり、組織づくりに特化をした、スクール形式では日本一のビジネススクール『リーダーズアカデミー』を経営。

  • 一般社団法人日本リーダーズ学会 代表理事
  • リーダーズアカデミー 学長
  • 早稲田大学エクステンションセンター講師
  • 他、経歴・著書多数

<プロフィールはこちら>

傾聴力についてネットで検索してみると、傾聴力を提唱したカール・ロジャースが、傾聴力の3つの要素として、共感的理解・無条件の肯定的関心・自己一致を挙げているそうです。なんだか難しそうですが…嶋津さんは、傾聴力を持っている人の特徴とは何だと思われますか?

聞き馴染みのない難しい言葉よりも、もっと噛み砕いて考えてみましょう。

耳と目と心を傾け、相手を理解する

傾聴力の「聴」という漢字は、耳と目と心で出来ていますよね。つまり傾聴力とは、耳を傾けるだけではなく、目も心も傾け、理解するということです。相手の声だけ聞くのではなく、仕草や姿勢、表情、声の調子まで注意を向ける。それが傾聴というものです。

分かりやすいです。相手の仕草や表情から読み取れるものもたくさんありますね。

はい。それから、相手の言葉の最後にまで耳を傾けるということですね。よく相手が話している最中に「いや、そうじゃなくて」と割り込む人がいますが、あれは傾聴しているとは言えません。

あれは嫌ですよね…。話している側としても、「最後まで聞いてから言ってよ!」と思ってしまいます。

話しているところを邪魔した上に、自分の意見を押し付けるのはもう最悪ですね。傾聴というのは、どんなに自分と合わない意見であったとしても、相手の言葉を最後まで聞くというところから始まります。

自分の意見と合わない時にはつい反論してしまいそうになりますが、まずは聴くこと、ですね。

はい。相手が話しきってから、自分の意見を述べたり、質問したりすれば良いのです。遮ってしまうのは傾聴力を身につけるにあたって、一番やってはいけないことです。

肝に銘じます!

あとは、言葉の背後にある感情も受け止める、ということが重要です。言葉の真意を読み取るということです。

ただ単に言葉を受け取るだけでなく、言葉を発した感情を見極める。そのためには表情や態度も見ておく必要がありますね。

傾聴はいつもすべきではない。寄り添いすぎが危険な場面も?

僕は、傾聴というのはいつもやることではないと考えています。

どういうことでしょうか?いつも傾聴力があった方が良さそうに思えますが…。

例えば居酒屋で友達同士で話している時に、姿勢や表情、言葉の1つ1つにまで細かく傾聴されたらどうですか?

話しにくいですね(笑)。そんな大した話じゃないんだから、もっと気軽に聞いてよ!となります。

そうですよね。つまり、傾聴すべき場面とそうでない場面があるのです。

傾聴すべき場面は、どういった場面でしょうか?

部下との面談だったり、クライアントとの商談だったり、取材だったり。ビジネスシーンでは傾聴力が必要な場面が多いですね。

逆にビジネスシーンにおいて、傾聴すべきではない場面はありますか?

傾聴すべきではないわけではないのですが、理解しようとしすぎてはいけない時もあります。例えば営業をしている時、もちろんお客様のことを理解することは重要ですが、寄り添いすぎは危険です。

どういうことでしょうか?

お客様のことを理解していないと、適切な提案をすることは出来ませんし、コミュニケーションもうまくいきません。傾聴力は営業にも求められるスキルです。しかし傾聴しようと思いすぎて、お客様に寄り添いすぎてしまうと、これ以上グイグイ行ったらしつこいと思われてしまうのではないか、怒られてしまうのではないかと心配になって、営業できなくなってしまうケースがあるんです。

なるほど。傾聴しようとしすぎて、相手の態度や言葉の全てが気になりすぎ…もはや妄想になってしまうという感じですね。

まさに、「妄想」になってしまうんです。妄想になってしまうと、自分に決定権がないことに対して、あたかも自分が決定権があるかのように考えてしまいます。でもしつこいかどうか、商品が高いと感じるか安いと感じるか、それを決めるのはお客様であり、自分ではありません。

確かにそうですね。傾聴から妄想に変わると、必要以上に慎重になって、営業できなくなってしまうんですね。

はい。お客様にしっかり向き合おう、傾聴しようと思いすぎてしまったが故に、起こしがちなケースです。

傾聴力がある人の特徴とは?

傾聴力がある人の特徴は何かありますか?

傾聴する側が明らかに話す量が少ないということですね。人間には1つの口と、2つの耳があります。自分が話している二倍、聞いている状態を作らないといけません。

二倍か…そこまで我慢できている自信がありません…。

傾聴力というのはそう簡単に身につくものではないので、大丈夫ですよ。次回以降、傾聴力を身につけるためのコツについてもお話ししていきますので、一緒に学んでいきましょう。

はい!よろしくお願いします。

傾聴というのは、相手のエネルギーを引き出す行為だと思います。

エネルギーを引き出す?とういうことでしょうか?

例えば部下との個人面談で、実績がよくなくて「何を言われるんだろう。怒られるのかな」と思いながら来た部下が、面談後に「がんばります!」とエネルギーのある状態で帰って行けたとしたら、それは傾聴に成功した証です。

ぜひそんな上司になりたいです!

次回、傾聴力を身につけるコツについて詳しくお話ししていきますね。

この章のポイント
・傾聴力とは、耳だけでなく、目も心も傾けること
・傾聴すべき場面とそうでない場面を使い分ける必要がある
・寄り添いすぎて、妄想にならないように注意する
・自分が話すより二倍、相手が話している状態を作る
・傾聴することで、相手のエネルギーを引き出す

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