経営理念の作り方とは?社員が行動に変換できる経営理念を作ろう

この記事でわかること
・経営理念を作るときに気をつけるべきポイント
・経営理念の長さ、言葉の分かりやすさはなぜ重要か
・ブラッシュアップした経営理念を作るためにおすすめのプロセス

この記事は、ネットで言われている「一般論」に対して、組織マネジメントの専門家はどう考えるのか?をインタビューし、私たちがより実践しやすい具体的なアクションを聞き出す企画です。今回は「経営理念」の2回目となります。(記事のアーカイブはこちら)。 

前回は経営理念の意味、ビジョンやバリューとの違い、経営理念を設定するべき理由などについて伺っていきました。今回は経営理念の作り方について紐解いていきます。

登場人物プロフィール

【インタビュアー】MEGUMI

とある女性向けのサービスを行なっている経営者。それなりの社員を抱える規模でビジネスをしているが、組織の人間関係のトラブルや、離職率の上昇など、組織マネジメントにはまだまだ課題のある状況。

今まで感覚的に行なっていたけれど、改めて、しっかりと学んだ方がいいのかも…と考えていた矢先に、この記事の企画をいただき、インタビュアーとして参加させていただきながら、組織マネジメントを学ばせていただくことになりました。

【専門家】嶋津良智先生

日本唯一の『上司学』コンサルタント。「『あなたのもとで働けてよかった』をすべてのリーダーへ」を理念に、中小企業のための、人づくり、組織づくりに特化をした、スクール形式では日本一のビジネススクール『リーダーズアカデミー』を経営。

  • 一般社団法人日本リーダーズ学会 代表理事
  • リーダーズアカデミー 学長
  • 早稲田大学エクステンションセンター講師
  • 他、経歴・著書多数

<プロフィールはこちら>

経営理念についての重要性が分かったところで、これから経営理念や企業理念を作る経営者はどういった点に気をつければ良いでしょうか?自分の原体験から、創業メンバーと一緒に作る、などやり方はいくつかあると思うのですが、嶋津先生が良いと思う方法を教えてください。

わかりました。

なぜその会社を作ったのか?を問い続ける

その会社をなんのためになぜ作ったのか。何をしたくて作ったのかという、経営者の思いがどこにあるのかをしっかり自分の中で整理する必要性があります。思いを紐解いていくと、MEGUMIさんがおっしゃったように、自分の原体験とかもヒントになっていくでしょうね。

嶋津先生はどんな風に考えられたのですか?

会社で何をしたいかを考え続けた結果、ある時閃いたというか…自然と生まれてきました。

前回、必ずしも全ての会社が経営理念があるわけではないというお話もありましたが、会社を経営していく中で理念が見えてくるケースもあるのでしょうか?

ありますね。創業時の社員が2〜3人しかいない時は、目の前ですぐ意思疎通が取れ、方向性をすり合わせしやすいので、理念がなくてもある程度の経営が可能です。ただ社員の数が増えていくと、やはり軸となる理念の必要性を感じるようになっていく。その期間、どんな理念にしようか、ずっと考え続けることで、ある時浮かんでくるのだと思います。

考え続けている上で、しっかりと言語化するタイミングが必ずしも会社を作った時とは限らないわけですね。

長い理念はNG?理念づくりで気をつけるべきこと

嶋津先生はビジネススクール「リーダーズアカデミー」で様々な企業のリーダーと接する機会がありますが、理念の作り方についてどのように教えられていますか?

社会にとって、あなたの会社はなぜ必要なんですか?という問いをとにかくし続けます。何か具体的なステップを用意すると言うよりも、何をしたいのか、なぜしたいのか、社会にどんな影響を与えられるのか…とにかく考えていただいて、言語化してもらって、形にしていくことが基本です。

問いを続けた先に、理念の軸があるわけですね。

はい。問いを続けるということが経営者の1番の仕事ではないでしょうか。必ずしも日本一や世界一をとる必要はなくて、どういう意味で社会に必要とされたいかを考えることが大切です。

理念は社内外のステークホルダーに浸透させ、軸となることが目的だと考えると、出来るだけ分かりやすい言葉が良いでしょうか?

そうですね。分かりやすく、短く、少ない方が望ましいです。ホンダの創業者・本田宗一郎氏の言葉に、「理念なき行動は凶器であり、行動なき理念は無価値」という言葉があります。理念に色々と思いを込めるのは良いのですが、社員がそれを元に行動しなければ意味がありません。ミッション・ビジョン・バリューの他にも経営方針や行動指針がたくさんあったら、社員は覚えられませんよね。覚えられなければ、行動には移せません。

確かに。HPには長々と書かれているけれど、社員は把握していない…なんてこともあるあるだと思います。

それでは、理念を作った意味がありません。1つ1つ確実に徹底して、社員に実行していってもらうためには、一文に思いを込める方が良いのではないでしょうか。

肯定派・否定派を作る

創業者1人ではなく、創業後に経営理念を作成するときに、おすすめの作成プロセスがあります。

ぜひ教えてください!

例えば10人の会社だとしたら、5人は否定派、残りの5人は肯定派に分けます。リーダーが理念について話した後に、肯定派が理念に共感したポイントを、否定派が理念に納得できなかったポイントをリーダーにフィードバックします。ここで重要なのは、否定派という役割を最初から与えてしまうこと。そうでなければ、部下がリーダーに向かって理念の否定的な意見を述べることは難しいです。

リーダーに思いがあるからこそ、進んで否定的な意見は言えないですよね。一方で否定派の役割を与えられると、遠慮なく意見を言えそうです。

否定が難しい場合は、ここが分かりにくかったとか、ここは具体的にどういう意味なのかとか、質問でも良いんです。意見が集まったら、リーダーはその意見をもとにブラッシュアップを行います。その後、もう一度行う。そうすることで、どんどん理念が研ぎ澄まされていきます。どの角度からの質問が来ても大丈夫になれば、素晴らしいミッション・ビジョン・バリューが誕生します。

様々な観点から理念を見ることで、より分かりやすく、洗練された企業理念や経営理念が生まれそうです。

完成後は、協力してくれた社員たちと共有しましょう。そうすると、みんなで作った理念ということで、社員の愛着も増していきます。このプロセスを通して自動的に理念も浸透していくことができますよ。

社員も楽しみながら、気づいたら理念が自分の仕事の軸となっていそうです。次回は、この浸透という観点でもう少しお話を深掘りさせていただこうと思います。よろしくお願いします!

分かりました。よろしくお願いします!

この章のポイント
・会社をなんのためになぜ作ったのか、なぜ社会に必要なのかを整理する
・問いを続けるということが経営者の1番の仕事
・社員が覚えられず、行動には移せない理念は意味がない
・否定派、肯定派に分かれて理念をブラッシュアップしていく

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