経営理念の事例紹介!経営理念に基づき、一貫した経営を行う企業とは?

この記事でわかること
・経営理念を体現したサービスを提供している企業の事例
・ステークホルダーに経営理念が浸透している企業の事例
・社会の存在意義に合わせて、経営理念を変化させた企業の事例

この記事は、ネットで言われている「一般論」に対して、組織マネジメントの専門家はどう考えるのか?をインタビューし、私たちがより実践しやすい具体的なアクションを聞き出す企画です。今回は「経営理念」の4回目となります。(記事のアーカイブはこちら)。 

経営理念の重要性や経営理念の作り方、経営理念を浸透させる方法など様々な視点から、経営理念について掘り下げてきました。今回は経営理念の事例についてお話を伺っていきます。

登場人物プロフィール

【インタビュアー】MEGUMI

とある女性向けのサービスを行なっている経営者。それなりの社員を抱える規模でビジネスをしているが、組織の人間関係のトラブルや、離職率の上昇など、組織マネジメントにはまだまだ課題のある状況。

今まで感覚的に行なっていたけれど、改めて、しっかりと学んだ方がいいのかも…と考えていた矢先に、この記事の企画をいただき、インタビュアーとして参加させていただきながら、組織マネジメントを学ばせていただくことになりました。

【専門家】嶋津良智先生

日本唯一の『上司学』コンサルタント。「『あなたのもとで働けてよかった』をすべてのリーダーへ」を理念に、中小企業のための、人づくり、組織づくりに特化をした、スクール形式では日本一のビジネススクール『リーダーズアカデミー』を経営。

  • 一般社団法人日本リーダーズ学会 代表理事
  • リーダーズアカデミー 学長
  • 早稲田大学エクステンションセンター講師
  • 他、経歴・著書多数

<プロフィールはこちら>

経営理念について色々と理解が深まってきました。今までお話ししてくださったような、理想的な経営理念を掲げている企業の具体例があれば、教えていただけますか?

ではまず、イーロン・マスクが経営するテスラについてご紹介しましょう。

テスラは「自動車を売ること」が目的ではない

テスラといえば、電気自動車業界の王者と言われていますね。

はい。でもテスラの目的は、自動車を売ることではありません。

どういうことでしょうか?

テスラが掲げている経営理念は、「持続可能なエネルギーへ、世界の移行を加速」させるということ。つまり持続可能なエネルギーに移行するためのサービスの1つが電気自動車なのであって、車の販売自体が目的ではないんです。その証拠に、テスラは蓄電池の販売なども行っています。

なるほど。まさに理念に基づいてサービス提供がされているわけですね。経営理念について最初にお伺いした時、Meta(旧Facebook)社の経営理念についても伺いました。

創業当初は「世界をオープンにし、つなぐ」だったのが、今は「コミュニティづくりを応援し、人と人がより身近になる世界を実現します」に変更されているというお話ですね。

テスラは理念に基づいて様々なサービスを提供し、Meta(旧Facebook)は、社会での存在意義、存在目的が変わったので、理念を変えたということですよね。

はい。世界のトップ企業は、社会での存在意義を常に問い続け、理念やサービスを臨機応変に変えているというのが1つの特徴と言えますね。

あれだけ規模の大きな会社でも柔軟に動いているのですね。

日本一や世界一を目指すということではなく、なんのために、自分の会社は社会にとって必要なのか、どういう意味で必要とされる存在になりたいのか。それを追求し続けるのが、社長の仕事だと思います。

サードプレイスを軸に、一貫性を持つスターバックス

社員やお客様などのステークホルダーに経営理念が上手く浸透している企業の事例はありますか?

スターバックスが良い例ではないでしょうか。

サードプレイスですね。

はい。家、会社に次ぐ第三の居場所になる。サードプレイスと呼ばれる理念です。これを軸に、デザイン性や居心地の良さを追求したお店づくり、サービス提供、商品開発が行われています。結果、サービスや空間に一貫性が生まれ、全世界どの店舗に行っても同じような体験をすることができるようになっています。

確かに、店舗によってサービスの質がバラバラだったり、空間のイメージが異なったりすると、企業のイメージも統一されませんよね。スターバックスは一貫したイメージを持つことができます。それは経営理念に基づいたサービス作りがなされているからなのですね。

もし一貫性がない経営をしたら、どうなるでしょうか。例えば、コーヒーではなくお汁粉を出すお店があったり、おでんを出すお店があったり、コーヒーを作るバリスタがショッキングピンクのミニスカートに、ウサギの耳のカチューシャをつけて、ブルーやオレンジなどカラフルな色味の店内だったら、どう思いますか?

とても居心地が良いとは言えませんね。どちらかというと、テーマパークのようなテンションの高さを感じます。

そうですよね。それで「サードプレイス」を掲げていても、ステークホルダーに理解してもらったり、お客さんに応援してもらったりすることはないでしょう。一貫性がないからです。

はい。「遊び心」とかが経営理念だったら良いですけどね。経営理念とサービスが一致していないということですね。

言っていることとやっていることを一致させていくというのがとても重要だというわけです。身近に体感できる空間で言うと、ディズニーランドもそうですね。オリエンタルランド社では、「自由でみずみずしい発想を原動力に すばらしい夢と感動 ひととしての喜び そしてやすらぎを提供します。」を企業理念として掲げています。

「夢と感動」というのはまさに、ディズニーランドを体現しているキーワードですね。ディズニーランドはよくパークで働くキャスト(スタッフ)の良質なサービスが話題になりますが、あれらも経営理念に基づいた教育がされているということですね。

そうです!商品開発だけでなく、教育にまで経営理念が浸透できると、企業の「人」から、経営理念を感じとることができます。経営理念は直接お客様に伝える必要はなく、まずは社員に理解してもらうことが大切です。社員が理解し、経営理念を体現してくれれば、自然とお客様にも伝わっていきますから。

スターバックスとオリエンタルランドはまさにその良い成功事例ですね。

リーダーズアカデミーが経営理念を変更した経緯

嶋津さんが一番良いと思う企業理念はありますか?

弊社の『「あなたのもとで働けてよかった 」をすべてのリーダーへ』が一番だと思っています。実は、弊社も企業理念を変更しているんです。

そうなんですか?どのように変えられたのでしょうか?

元々は、会社に質の良い文化を定着させるためのコンサルティングをしていこうという思いで会社を設立し、会社名も「カルチャーアセットマネジメント」という名前でした。経営理念は、「人と企業に、上質な文化形成をすることに寄与し、豊かな社会と明るい未来づくりに貢献する」といったものでした。お金を上手に運用すると儲かり、運用に失敗すると損するのと同じように、企業文化も上手に運用すると儲かる会社が作れて、企業文化の運用に失敗すると、儲からない会社になるという考えのもと、コンサルティングを行っていました。

なるほど。

でもコンサルティングをしていくと、良い文化を作るには、社内にまず良いリーダーを育てる必要があると気づいたんです。そこで、社名をリーダーズアカデミーに変更し、企業理念を『「あなたのもとで働けてよかった 」をすべてのリーダーへ』に変えました。そして、リーダーを育てるための講座を提供しています。

社会における存在意義を改めて見直されたのですね。

そうです。私たちのように、企業を経営していく中で気づき、経営理念を変更することも大いにあります。一度決めたらそれで終わりではなく、常に自社の存在意義を問い続け、サービスを見直し続けることが、経営理念において最も重要な考え方です。

この章のポイント
・テスラは自動車販売が目的ではなく、持続可能なエネルギーへの移行が目的
・スターバックスはサードプレイスを軸に、店舗やサービス、空間作りが統一されている
・経営理念は直接お客様に伝える必要はなく、まずは社員に理解してもらうことが大切
・常に自社の存在意義を問い続け、経営理念やサービスを見直し続ける

<この記事のシリーズをもっと見る>

嶋津式の組織マネジメントをもっと学びたい方へ

インタビューでは語りきれなかったより詳しい内容を網羅した、オンライン動画コンテンツを無料で提供しています。嶋津式の組織マネジメントをもっと学んでみたいという方は、ぜひ合わせてご覧ください。

<無料で視聴する>

TOP
無料オンライン講座はこちら